中学校で「There is/are」の使い方を学んだとき、「ある・ない」「いる・いない」という単純な意味で理解したかもしれません。しかし、この理解だけでは「There is/are」を十分に使いこなしているとは言えません。
この記事では、ネイティブがどのような感覚で「There is/are」を使っているのかを理解し、それを自分の英会話に取り入れることを目的としています。
大切なのは、「There is/are」を使う感覚を自分で感じることです。その感覚とは、「今から新しい情報を伝えますから聞いてくださいね!」というものです。
There is / are は新しい情報提供
例えば、友達と話しているときに急に “I think I like Cindy”「シンディが好きだと思う」と言われたとしましょう。あなたはシンディという女性を知らないので、これを言われた人は唐突すぎて何の話か混乱してしまいます。
新しい情報を伝えるためには前置きが必要です。それが「There is/are」の役割です。
その前置きが、
- “There’s a girl in my class named Cindy. I think I like her.”(同じクラスにシンディという女の子がいるんだ。彼女のことが好きだと思う。)
「There’s」があることによって、背景がより理解できるようになり、状況が見えてきます。
もう一つ例文を見てみましょう。
あなたの上司が急に “Get me the document.”「資料を取ってくれ」と言ったとしましょう。
あなたは、上司がどの資料を指しているのかさっぱりわかりません。この資料の前置きが必要です。
- “There’s a document on the table in my office. Can you get me the document?”(オフィスのテーブルの上に書類があります。その書類を持ってきてもらえますか?)
このように言われたら、問題なく上司に従えます。
この二つの例文から分かることは、新しい情報を相手に伝えるのに「There is/are」を使った前置きが絶対に必要であるということです。
**似たような例文:**
- There’s a book on the shelf that I need. Can you hand it to me? (棚の上に必要な本があります。それを手渡してもらえますか?)
- There’s a meeting at 3 PM. Can you attend it? (午後3時に会議があります。出席できますか?)
- There’s a new restaurant that opened nearby. Shall we try it? (近くに新しいレストランがオープンしました。行ってみませんか?)
- There isn’t any milk left in the fridge. Can you buy some? (冷蔵庫に牛乳が残っていません。買ってきてもらえますか?)
- There isn’t any signal here. We can’t make a phone call. (ここには電波がありません。電話ができません。)
- There isn’t a single cloud in the sky today. (今日は空に雲が一つもありません。)
There is / are は「ある・ない」以外の意味になる
「There is/are」は「新しい情報提供」するときに用いると述べました。
「新しい情報提供」をするときには、「ある・ない」以外の言葉が使われる場合が多いです。
例えば、
- 新しい映画が上映される。「上映される」
- 新しいビルが建つ。「建つ」
- 新商品が出た。「出た」
- 会議が行われた。「行われた」
- 新しい本が出版された。「出版された」
- 新しい紙幣が発行される。「発行される」
「上映される」、「建つ」、「出た」、「行われた」、「出版された」、「発行される」といったそれぞれの動詞を英語で表現できなくても、「There is/are」で表現することができます。ただし、過去形、現在形、未来形と適切な時制を使う必要があります。
**例:**
- There will be a new movie.
- There will be a new building.
- There is a new product.
- There was a meeting.
- There is a new book.
- There will be a new bill.
もちろん、それぞれの動詞を知っていればより正確な文になりますが、初心者にとっては一つの表現でさまざまなシーンに応用できるのでとても便利です。「There is/are」の汎用性を頭に入れておくと、今後の英会話に役立ちます。
曖昧に新しい情報を提供する [There is something +形容詞]
「There is/are」は新しい情報提供に使われますが、それを曖昧に情報提供する方法があります。それが、「There is something + 形容詞」です。
これによって、「何か~」という意味になります。
例文をみていきましょう。
- There is something strange about that place. (何かあの場所変はおかしい。)
- There is something wrong with my phone. (何か私の電話がおかしい。)
- There is something important I need to tell you. (伝えなければならない重要なことがある。)
- There is something beautiful about this painting. (何かこの絵には美しいものがある。)
- There is something different about him. (今日の彼は何か違う。)
There is something about…
Something の後に形容詞を省略することで、曖昧さが増す表現になります。この表現は文脈によって、良い意味にも悪い意味にもなります。
例えば、ある女性に片思いしていて、友達に「彼女のどんなところがいいの?」と聞かれたときに、
“There’s something about her that I like.”(彼女は何かいいんだよね。)と言います。
「There’s something about her」だけでも、会話の流れで「何か彼女がいい」と伝わります。
**例:
- – What do you like about her?
- I don’t know. There’s something about her.(彼女のどんなところが好きなの?/わからないけど、何か彼女がいいんだ。)
一方で、上司を好きになれないとしましょう。その理由が自分でもわからない場合、同じ表現を使います。
**例:
- – What don’t you like about your boss?
- I don’t know. There’s something about him.(上司のどんなところが嫌いなの?/わからないけど、何か彼には嫌なところがある。)
つまり、「There’s something about …」は文脈によって良い意味にも悪い意味にも解釈されます。
まとめ
There is/areを単純に「ある・ない」「いる・いない」だけで理解するのではなく、新しい情報を提供する前置きとして理解し使うことで会話での使用機会が増えます。
また、There is/areはさまざまな動詞の代わりになり、以前には存在していなかったものが現れることを表現できます。
さらに、「There is something (形容詞)」を使うことで、曖昧に情報提供をすることができます。