アウトプットに関する会話では、インプットのことも必ず一緒に語られます。
これは、インプットとアウトプットが密接に関連しているからです。
特に英語学習では、この二つの関係を理解することで、英語習得の方法がより明確になります。
この記事では、インプットとアウトプットの関係、そしてアウトプットの秘訣について深く掘り下げていきます。
インプットとアウトプットのどちらが大切?
インプットとアウトプットの関係について詳しく書かれた書籍があります。
樺沢紫苑の『アウトプット大全』です。
この書籍では、多くの学生や社会人が学習する際に、インプットが7割、アウトプットが3割の割合で行っていると述べられています。
しかし、研究によるとアウトプットの割合を多くする方が、より効果的な学習法であると記されています。
インプットとアウトプットの理想的な割合は、インプット3に対しアウトプット7の黄金比であるとされています。
つまり、多くの人の勉強法がインプット過剰でアウトプット不足であることを指摘しています。
例として、月に3冊の読書をする人と10冊を読む人を比べ、どちらが成長するかを問うています。多くの本を読んでいる方が成長していると考えがちですが、実はインプットの量と自己成長は比例しないとされています。
「月に3冊読んで3冊のアウトプットをする人」と「月に10冊読んでアウトプットしない人」を比較すると、「3冊読んで3冊アウトプットする人」の方が自己成長を遂げるとされ、自己成長はアウトプットの量に比例すると断言されています。
これは英語学習にも当てはまります。
どれだけインプットしてもアウトプットがなければ、英語を話せるようにはなりません。
これは、日本の中学や高校での英語学習法で証明されています。
ほとんどの日本人が英語を話せないのは、単純にインプット過剰でアウトプット不足の勉強法を続けてきたからです。
重要な点は、アウトプットの量をインプットの量よりも2倍多くすることの大切さです。
多くの人が誤解しているアウトプットの重要性
多くの方がアウトプットの重要性は理解していると思いますが、英語学習においてスピーキングにのみ重点を置くのは誤りです。
実際、多くの人は英語のアウトプット=スピーキングだと捉えがちです。そのため、「英語が話せる人との会話を通じて、英語を上達させられる」と考える人が多いのです。
しかし、これは正しくありません。英語が話せる人との会話だけでは、英語の上達は見込めません。
その証拠に、MMD研究所のデータによると、オンライン英会話を一年間続けた人はわずか5.8%に過ぎません。これは、英会話を挫折している人が多いことを示しています。
もし英会話が上達していれば、これほど多くの人が一年以内にやめることはないでしょう。
挫折した多くの人々は「英語を話せば、英会話が上手になる」という誤った考えを持っていたと思われます。
では、なぜ英語の話し方の練習をしても上手になりにくいのでしょうか?
その理由は、英会話を行う前に必要なアウトプットの準備が欠けているからです。
ここで言うアウトプットの準備とは、ライティングのことを指します。
正しいアウトプットのやり方
英会話の前に準備をしないで臨むと、自分の既存の能力以上の表現は難しいです。
何度繰り返しても、同じ言葉しか使えず、成長を感じることはできません。
重要なのは、英会話レッスンを受ける前に丁寧な準備をすることです。
この準備段階として、ライティングを取り入れましょう。ライティングを通じて、自分の伝えたいことを形にすることが大切です。
表現しようとすると、思うようにできないことが明らかになります。
表現に苦労する部分を「調べ」、「学んで」、「書いて」、「話す練習」をすることが重要です。
「調べ、学ぶ」過程がインプットに当たり、「書いて、話す練習」がアウトプットになります。
この一連の作業が、効果的なインプットとアウトプットの方法です。つまり、インプットをすぐにアウトプットに活用することが肝要です。
多くの学習者は、インプットした内容を即座にアウトプットしていません。そのため、学んだ内容を記憶に定着させることができないのです。
しっかりとアウトプットされた内容だけが実際のスキルとして身に付くことを覚えましょう。
インプットを生モノと見立てると良いでしょう。放置すればすぐに役に立たなくなります。すぐに消費し(アウトプットし)、自身の知識の一部にすることで、インプットが真の価値を発揮します。
以下は多くの学習者が陥る間違った勉強法の例です:
- 文法書をただこなすだけ
- 単語帳を丸暗記する
- 英語の聞き流しのみ
- 英語教材の読書のみ
これらはインプットにとどまり、効果を発揮しにくい方法です。インプットした英語をどのようにライティングに反映させるかを考えることが重要です。
正しいライティングの書き方
英語のライティングは日記形式のものを書きます。これを英語ではジャーナリングと言います。
ジャーナリングでは、まずテーマを選ぶことが重要です。
様々なテーマがありますが、「今日の出来事」をテーマにすると過去形に限定されがちですので、テーマを変えてみるのが良いでしょう。
私の学校で使用しているテーマリストを参考にしていただいても構いません。ダウンロードはこちらからどうぞ↓
初心者の方は、最初は日本語で書くことも必要かもしれません。
大切なのは、なるべく簡単な日本語を使うことです。難しい表現は避けてください。
書いた後、それを英語に置き換えます。
英語で書く際には、全文をそのまま翻訳機にかけるのではなく、自分で英文を作成することが効果的です。
初心者は、言いたいことを簡単な英語表現で伝える力を身につけることを目指しましょう。
もちろん、どうしても英文が作れない時はウェブ辞書、翻訳機、またはAIの助けを借りても大丈夫です。
新しい表現を取り入れる際は、難しいイディオムをたくさん使わないことがポイントです。
理解できる表現を使うことが最適です。
使う新しい単語やイディオムは全体の1割程度に留め、その使い方をしっかり調べ、最終的には英会話で確認しましょう。
新しい表現は繰り返し使う意識を持つことが大切です。
3回程度他のライティングで使用すると、記憶に残りやすくなります。
ライティングのポイント
- 初心者はまず日本語で考える
- 難しい表現は避ける
- できるだけ自分の力で書く
- 表現できない部分はウェブ辞書、翻訳機、またはAIを利用する
- 新しい表現は1割に留める
- 新しい表現は繰り返し使う
私が以前生徒の勉強用に作成したジャーナルを参考にしていただくと役立つかと思います。多くの内容があるので、選んで読み、勉強に活かしてください。↓↓↓
2017年のジャーナリング
2018年のジャーナリング
Chat GPTを使用すると、より正確な英語になる
自分が書いた英語が正しいのか不安になることがありますよね。
そのような時に非常に役立つツールがあります。
それは、文章生成AIのChat GPTです。
これを利用すれば、ネイティブスピーカーに添削してもらったような質の高い文章が得られます。
ただし、使用する際はプロンプト(AIへの指示)が重要になります。単に「添削してください」と指示すると、ネイティブレベルの英語で修正されることがあります。
ネイティブレベルの英語の使用はお勧めしません。
なぜなら、まずは自分の言葉で英語を話せるようになることを目指すべきだからです。
ネイティブレベルの英語を丸暗記しても、話せるようにはなりません。
まずは、自分の使えるレベルの単語やフレーズで、スムーズに話せるようになることを目指しましょう。
例えば、このような文章を作成したとしましょう。
日本語で文章を考える
私の趣味はゴルフです。ゴルフ場は広くて自然がいっぱいで、そこでプレーすると心がリラックスします。ゴルフはボールを打つのが難しいですが、上手になるととても楽しいです。友達と一緒にプレーすると、もっと楽しくなります。会話もできて、いい運動にもなります。日々の生活でのストレスを忘れさせてくれる趣味です。
英語に直す (この文章は生徒が添削無しで書いた文章と想定しましょう)
My hobby is golf. Golf courses are big and nature, and playing there relax me. Golf is hard to hit the ball but it becomes fun when you be better. Playing with friends makes it fun. You can talk with friends and exercise. I forget stress.
AI 添削された文章
“My hobby is golf. Golf courses are big and full of nature, and playing there relaxes me. Golf is hard when trying to hit the ball, but it becomes fun as you get better. Playing with friends makes it more fun. You can talk with friends and get some exercise. It helps me forget my stress.”
添削理由(日本語)
- “Golf courses are big and nature,” → “Golf courses are big and full of nature,”
- 理由: 「nature」を単独で使用するのは不自然です。ここでは「full of nature」(自然がいっぱい)という表現を使うことで、ゴルフコースが自然に囲まれている様子をより自然に伝えられます。
- “playing there relax me” → “playing there relaxes me”
- 理由: 動詞の主語と一致させる必要があります。主語が「playing」(単数形)なので、動詞は「relaxes」(三人称単数現在形)になります。
- “it becomes fun when you be better” → “it becomes fun as you get better”
- 理由: 「be better」は文法的に不正確です。「get better」(上達する)が正しい表現です。
- “You can talk with friends and exercise” → “You can talk with friends and get some exercise”
- 理由: 「get some exercise」の方が「運動する」という意味を明確にし、A2レベルの学習者にも理解しやすい表現です。
- “I forget stress.” → “It helps me forget my stress.”
- 理由: 「I forget stress」は少し不完全で、何がストレスを忘れさせるのかが明確ではありません。「It helps me forget my stress」(それは私がストレスを忘れるのを助ける)という表現にすると、ゴルフがどのようにストレス解消に役立つかをよりはっきりと示せます。
AIは文章を添削してくれるだけではなく、ちゃんと添削した理由も教えてくれます。
自分のレベルにあった添削のプロンプトをAIにすることが大切です。
こちらの投稿で、コピー&ペーストできるプロンプトを紹介していますので、ご興味あればご覧になって下さい。
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正しい話す練習の仕方
文章を作成した後は、話す練習をします。
ただし、いきなり英会話レッスンを始めるのではなく、事前に行う練習があります。
まるでプレゼンテーションの準備をするかのように進めましょう。
ただ文章を読むだけでは、相手に感情が伝わらないため、書いた内容をある程度覚える必要があります。
しかし、丸暗記は避け、文章からキーワードを選んで、それを見るだけで話す内容を思い出せるようにしましょう。
キーワードを選んだら、マインドマップの作成をおすすめします。
キーワードは、単語のみで文章を入れないようにし、見ただけで話したい内容を思い出せるものを選びます。
それを見ながら、自分のストーリーを話してみましょう。言いにくい部分は、何度も集中的に練習します。
この練習を繰り返すことで、キーワードを見ただけで自然に話が流れるようになります。
この段階で言語が自動化され、思い浮かべるだけで英語が自然に出てくる状態になります。
これは、日本語を話す時と同じ感覚です。
この練習は非常に重要で、反復を通じてしか習得できない能力です。
まるで運動能力を鍛えるように、反復練習をすることが唯一の方法です。
そして、最終的には英語が無意識に流暢に話せるようになります。
作成した話を繰り返し練習すれば、英語の瞬発力が徐々に向上します。
この練習を怠らず、1つのストーリーに最低10回は練習することが大切です。
話がスムーズに言えるようになったら、英会話に挑戦し、講師と楽しく会話しましょう。
講師もあなたの流暢さに驚くでしょう。
英会話を効果的にするためには、このような準備をして、最後に英会話レッスンをフル活用するのが最善です。
ライティングの習慣化
この記事を読んでくださった方なら、英会話のスピーキングが唯一の重要なアウトプットではないことがお分かりいただけたと思います。
最も大切なのは、そのスピーキングに至るまでのプロセスです。
つまり、ライティングと、それに基づいた練習が英会話力向上の鍵を握っています。
次に大事なのは、この練習を習慣化する方法です。
お勧めするのは、常にネタ帳を持ち歩くこと。
おすすめは、デジタルとアナログの二つのネタ帳を用意することです。
- デジタルの方は、スマートフォンで気軽にアイデアや疑問を記録できるようにします。
たとえば、「こんな話を作ってみよう」とか、「これを英語でどう表現するか」などのふとした思いつきを記録しましょう。
アイデアや疑問は思いついた瞬間にメモしないと忘れがちです。ここで便利なのが、スマホのLINEです。自分専用のグループページを作り、英語に関するメモを残していきます。
LINE グループページの作り方はこちらを参照→ https://guide.line.me/ja/friends-and-groups/create-groups.html
2. もう一つの方法は、アナログで英語専用のノートを用意することです。
手書きの重要性については、様々な研究で手書きが長期記憶に効果的であることが証明されており、樺沢紫苑の『アウトプット大全』にもそのことが記載されています。
手書きはデジタルタイピングより学習効果が高いとされるため、推奨します。
ノートのサイズに関しては、理想はA4サイズですが、持ち運びやすさを考えると、B5やA5サイズも良いでしょう。
このノートには、ライティングを全て記録します。
そうすることで、英語学習の進歩が見え、モチベーションも上がります。
最初の10個のストーリーが完成したら、自分を褒めて、20や30になるにつれて自信を持つようになるでしょう。
ノートがいっぱいになる頃には、あなたの英語力は格段に向上しているはずです。
ノートの使い方としては、1ページに1ストーリーを書き、隣のページには間違いや新しい表現、気づきを記録すると良いでしょう。
勉強時間は、1日1時間を目安にしてください。
これを1年間続ければ、英語力は大きく向上します。
当校では、初心者を対象に、1年間で英会話ができるようになるカリキュラムを提供しています。
学習者が1年後に英語に自信を持てるよう、コーチと一緒にさまざまな学習の障壁を乗り越えます。
もし興味があれば、当校のLINEに友達申請をして、「トライアル希望」とメッセージを送ってください。
まとめ
インプットとアウトプットは密接に関連していますが、どんな学習においてもアウトプットを重視した学習こそが真の学びとなります。
英会話のアウトプットは単にレッスンのスピーキングだけと誤解されがちですが、実はライティングとそれを基にしたスピーキング練習が最も重要です。
ライティングを行う際には、自分に馴染みのある英語を9割使用し、新しい単語や表現を1割取り入れることが肝心です。Chat GPTで添削を受けた後、マインドマップを使って反復練習をしましょう。
ライティングを習慣化するためには、デジタルとアナログの両方を活用するのが良いでしょう。